Q施 14. ボルト周辺の溶接は何㎜まで近付けて良いか。

 高力ボルトの材料は熱影響を受けると機械的性質が低下する恐れがあり、その限度が250℃前後とされています。
 一方、鉄骨工事技術指針・工事現場施工編「現場混用接合部の施工順序」においては、混用継手では高力ボルトを先に締め付けることを原則としながらも「高力ボルトを締め付けた後、梁フランジの完全溶け込み溶接を行うと溶接部に近いボルトが加熱されボルト張力(軸力)が低下する」という研究例を紹介しています。また、最外縁ボルトの表面温度は70~130℃に達し、ボルト張力(軸力)の低下はおおむね0~20%の範囲であった、とも報告されており、250℃より低い温度でも張力への影響が確認されています。そこで、梁ウェブ摩擦接合部のすべり耐力には余裕を持たせること、場合によっては、1次締め⇒本溶接⇒本締めなどの施工手順も検討することなども提案されています。いずれにしろ、これからの研究はまだ数も限られており、また溶接による入熱管理やルートギャップの問題なども影響してくるため、高力ボルトと溶接部との距離は一概に決められず設計監理者、施工者との十分な打合わせが必要です。