Q設 7. すべり係数と摩擦係数の違い。

すべり係数とは、高力ボルト摩擦接合において部材の摩擦面が外力により明確なすべりを起こす時の荷重(すべり荷重(P))を導入した初期ボルト張力(軸力)(N)で除した値であり、締付けボルト本数(n)と摩擦面数(m)を合わせて考えて次式により表されます。 

 

 これは、物体の摩擦面に働く摩擦力と垂直抗力の比で表される静止摩擦係数と意味合い的には同じですが、摩擦接合では摩擦係数を算定する場合、材間圧縮力としてのボルト張力(軸力)はすべり発生時のボルト張力(軸力)ではなく、ボルトに与える初期ボルト張力(軸力)を用いて算定するため、厳密な摩擦係数ではなく、見かけ上の摩擦係数であり、これをすべり係数と呼んで静止摩擦係数と区別しています。
 
 
 
図4 <静止摩擦係数>

図5 <すべり係数>



N:部材の伸縮により若干変更する