Q設 3. 高力ボルト接合の種類と特長。

 接合形式には、次の3つの種類があります。

(1) 摩擦接合

 摩擦接合は高力ボルトで接合材を締付けた際に生じる大きな材間圧縮力によって得られる接合材間の摩擦抵抗で応力を伝達する接合法です。ボルト周辺に広く分散した材間圧縮力を介して応力伝達が行なわれるため、局部的な支圧力で応力を伝達するリべット接合などと違って応力集中も少なく、応力の流れは滑らかになります。
 また、摩擦抵抗を超えた力が加わり摩擦が切れて、すべりが発生するまでは、接合材間にずれが生じないので、極めて高い剛性が確保されると共に疲れ強さも高くなります。

(2) 引張接合

 応力の伝達に際して、材間圧縮力を利用している点は摩擦接合と同様ですが、引張接合は高力ボルトの軸方向に応力を伝達する接合法です。作用外力は主として高力ボルトの締付け力によって生じる材間圧縮力と打消し合う形で応力伝達が行なわれます。
 そのため、引張り外力が作用したときの、ボルト張力(軸力)の付加も小さく、接合部の剛性は非常に大きくなります。

(3) 支圧接合

 支圧接合は高力ボルトで接合材を締付けて得られる接合材間の摩擦抵抗とリべットや普通ボルトのようなボルト軸部のせん断抵抗および接合材の支圧力とを同時に働かせて応力を伝達する接合法です。
 高力ボルトを支圧接合として採用する場合には、建築基準法による国土交通大臣の認定を受けなければなりません。 
 
図1 摩擦接合例

図2 引張接合例 (a) Split Tee 型

図3 引張接合例 (b) End Plate 型